担当:まるやま
大規模修繕の瑕疵保険は、工事完了後に施工箇所に欠陥(瑕疵)が見つかった際、その修繕費用をカバーする保険です。
「もし数年後に雨漏りが再発したら?」「業者が倒産してしまったらどうなる?」こうした不安を解消し、オーナー様・管理組合の資産を長期的に守る仕組みとなります。
今回は瑕疵保険の仕組みやアフターフォローの重要性などについて解説いたします。大規模修繕をご検討中の方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
瑕疵保険は「検査」と「保証」がセットになった制度です。
施工後に瑕疵が見つかった際は施工会社が修補を行い、その費用の80%を保険会社が填補し、残り20%は施工会社が負担します。
もし施工会社が倒産した場合は、発注者(管理組合等)が直接保険金を請求でき、発注者に対して100%填補する仕組みとなっています。
瑕疵保険を利用する時のおおまかな流れ・特徴は以下のとおりです。
瑕疵保険を利用する場合、発注者(管理組合・オーナー)が直接申し込むことはできません。住宅瑕疵担保責任保険法人の「事業者登録」を済ませている施工会社が保険会社に申し込む必要があります。
ただ、すべての施工会社が事業者登録をしているわけではなく、瑕疵保険に対応していない会社もあります。
そのため、事前に施工会社が登録事業者かどうかを事前に確認することが重要です。保険に加入しているかどうかは、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトで調べられます。
保険に加入するためには、建築士の資格を持つ検査員による現場検査を受ける必要があります。
施工会社だけのチェックではなく、第三者の目から客観的な視点で手抜きやミスがないかを確認してもらえるため、必然的に施工品質が高まります。
全工事完了後、保険期間がスタートします。保険期間は部位や契約内容によっても異なりますが、基本的には5年間です。
保険期間中に瑕疵が見つかった場合、まず施工会社に修補を依頼します。
修補費用の80%は施工会社が保険会社に請求できるため、施工会社の金銭的負担が少なく、速やかな対応が期待できます。
もし、工事の数年後に不具合が見つかり、その時に施工会社が倒産していたとしても、発注者(管理組合・オーナー)は保険会社に直接保険金を請求できます。
この場合の填補率は100%ですので、補修費用に関しては発注者の負担ゼロで対処可能です。
国土交通省が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人は下記5社です。主な内容は共通していますが、保険料・検査方法・オプション内容は各社で異なります。
・住宅あんしん保証
・住宅保証機構
・日本住宅保証検査機構
・ハウスジーメン
・ハウスプラス住宅保証
大規模修繕かし保険の保険対象となる基本的な工事部位と保険期間は以下の通りです。
保険会社によっては「屋上防水の保険期間を10年間に延長」「タイル剥落特約付帯で5~10年間の補償」「塗膜の膨れ・剥がれに対する10年間の塗膜補償」など、さまざまなオプションをつけることも可能です。
| 保険対象部位 | 標準保険期間 | 事象例 |
|---|---|---|
| 構造耐力上主要な部分 (基礎・柱・梁・壁等) |
5年間 | 建築基準法レベルの構造耐力性能を満たさない場合 |
| 雨水の浸入を防止する部分 (外壁・屋根・防水工事等) |
5年間 | 雨漏りが発生した場合 |
| 給排水管路・電気設備 | 5年間 | 設置工事の瑕疵による水漏れ、逆勾配 |
| 給排水設備・電気設備 | 5年間 | 設置工事の瑕疵による設備の機能停止 |
| 手すり等の鉄部 (手すり・外部鉄部等) |
2年間 | 手すりの防錆工事の瑕疵による手すりのぐらつき |
台風・豪雨・洪水等の自然災害による損害、土地の沈下・移動等による損害、定期的に必要とされる計画修繕を怠った場合などは、保険金の支払い対象外です。発注者による定期的な維持管理も保険適用の条件となります。
多くの施工業者は自社発行の保証書を出しています。自社保証と瑕疵保険の違いを正確に理解することが重要です。
| 比較項目 | 自社保証書 | 大規模修繕瑕疵保険 |
|---|---|---|
| 保証の主体 | 施工会社によって品質が左右される | 施工会社+保険会社で、国土交通省指定の保険法人が第三者の目から品質を補完 |
| 施工会社倒産時の対応 | 保証は消滅し、瑕疵発生時の請求先がなくなるため | 発注者が直接保険金を請求でき、倒産等の場合は100%填補される |
| 工事中のチェック | 自社基準のみで第三者の目が入らない | 建築士による現場検査がある |
| 対象部位・期間 | 業者が任意で設定 | 国土交通省の整理に基づく対象部位・期間 |
保険が「万が一」の備えであるのに対し、アフターメンテナンスは「不具合を未然に防ぎ、建物の寿命を最大化する」ための仕組みと言えます。
定期点検を怠ると、保険の適用外となるケースもあるので注意が必要です。
多くの施工会社がアフターメンテナンスとして、施工後1年・3年・5年…と定期的に点検を実施してしています。
防水や塗装は、初期の段階で微細な不具合を見つけて処置すれば、建物へのダメージを最小限に抑えられます。
塗膜の膨れやシーリングの剥離、防水層の異常等を早期に発見できれば、修繕コストと建物へのダメージを最小限に抑えられます。特に初めての雨季・台風シーズンを経た後が重要な確認タイミングと言えます。
一度大規模修繕を行った業者は、その建物の特徴や立地環境をよく知る存在です。継続的な点検で蓄積される情報が、次回の修繕時に大きく役立ちます。
いつ、どのようなメンテナンスを行ったかという修繕履歴が残っている物件は、融資や将来の売却時にも高い評価を得られます。
修繕履歴は建物管理の誠実さを示す客観的な証拠となり、資産価値を守る重要なポイントです。
瑕疵保険は大規模修繕工事を請け負う施工会社が申し込む必要があり、そのためには事業者登録をしていなければなりません。未登録の業者は保険を申し込めません。
瑕疵保険の利用を検討中の方は、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のウェブサイトで、発注予定の施工会社が事業者登録をしているかを確認しておきましょう。
瑕疵保険を取り扱っている会社によって、保険料やオプションが異なります。
どの部位が対象か、保険期間は何年か等、補償内容が建物の状況に合っているかを確認しておくことが大切です。
自社発行の保証書がある場合も、その何を・何年・どの条件で保証するか、内容と免責事項を必ず確認してください。
「10年保証」と書いてあっても、実際の補修範囲が極めて限定的で、不具合が見つかった際に対応してもらえないケースがあります。
工事完了時に、施工前後の写真・使用した塗料の製品名と缶数・シーリング材の種類・防水材の仕様等がわかる書類を貰っておくと安心です。
オーナー様自身も建物の状況を把握できたり、将来の定期点検・売却時の資産価値証明に役立ちます。
保険期間中に不具合を発見した場合は、まず施工会社に連絡をして、施工会社に保険会社への手続きをしてもらいましょう。
施工会社に連絡する前に自己判断で修補を行うと、保険金が支払われない可能性があります。
大規模修繕かし保険は、施工に不備があった際にその補修にかかる費用を補償してくれる制度です。万が一、施工会社が倒産した場合は全額補償してくれます。
大規模修繕は、工事が完了してからが本当の意味でのお付き合いの始まりです。工事品質と誠実さを証明する基準として、瑕疵保険は信頼できる業者選びの重要なポイントとなるでしょう。
ビルドアートでは瑕疵保険への対応はもちろん、徹底した自社保証・アフターメンテナンス体制を整えておりますので、安心してお任せください。