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タイル剥離・浮きを放置するリスク。最新の調査・補修技術(ピン注入等)を解説

スタッフ

担当:まるやま

マンションやビルのタイル外壁は高級感を演出する一方で、経年劣化によるタイルの剥離や浮きが目立ちやすい特徴もあるので注意が必要です。

「数枚浮いているだけだから」と思われるかもしれませんが、タイルの剥離・浮きは美観が低下するだけでなく、建物の耐久性が低下する原因にもつながります。また、資産価値の低下や経営基盤を揺るがす重大なリスクも潜んでいます。

今回はタイルの剥離・浮きを放置する危険性、修理方法などを解説いたします。

「たかがタイル」が凶器に変わる瞬間

タイル自体は1枚あたりは小さく見えても、コンクリートやモルタルと一体化した重量物になります。

一般的によく使用されている磁器タイルは、1枚あたり約200~400gで軽いと感じるかもしれませんが、高層階から落下した場合は人に致命傷を負わせるほどの危険性があります。

実際に国内では、外壁タイルの剥落による事故が複数発生しており、2008年以降は国土交通省によって以下のように外壁タイルの調査・報告が義務付けられています。

国土交通省告示第282号
・おおむね6ヶ月~3年以内に一度の手の届く範囲の打診・無人航空機による赤外線調査等を行う

・おおむね10 年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診・無人航空機による赤外線調査等を行う

見た目の美しさを保つことも大切ですが、まず重要なのは「第三者への加害事故を防ぐこと」です。また、マンションの売却査定・融資審査においても、物件の維持管理状況が重視されるため、資産価値を維持する意味でも早期の対処が不可欠となります。

放置厳禁!タイル劣化が招く「3つの致命的リスク」

法的・損害賠償リスク

剥落したタイルが通行人や車両に当たった場合、建物の所有者には民法717条「工作物責任」が発生します。これは、所有者が建物の安全を確保する義務があり、事故が起きた際には損害賠償を負わなければならないという法律です。

タイル落下による事故も工作物責任が適用され、非常に厳しいですが、正しく管理しており過失がない場合でも所有者には賠償義務が課せられます。

このように最悪の事態につながる可能性もあるので、タイルの浮き・剥離を放っておくのは非常に危険です。少しでも賠償リスクを減らし、人命を守る為にも定期的なメンテナンスは欠かせません。

建物内部の腐食

タイルが浮いている状態は、外壁材と下地との間に隙間が開いていることを意味します。

隙間に雨水が浸入すると、凍害による凍結膨張でタイルの浮きを拡大させたり、水分がコンクリート内部の鉄筋に到達してサビの発生につながってしまいます。

さらに、鉄筋のサビや腐食が進行すると爆裂という現象を引き起こし、外壁の基礎であるコンクリートを内側から破壊してしまう恐れもあります。

外壁内部の腐食は、建物全体の耐久性を著しく低下させます。そのため、腐食の原因になる水分を内部に浸入させないよう、タイルの浮き・剥離を見つけたときは放置せずに早期に対処することが大切です。

修繕コストの爆発的増大

建物は年月の経過とともに必ず劣化が進み、タイルの剥離・浮きの発生リスクも高まります。またタイル1枚の浮きを放置していると目地や接着剤の劣化が進行し、やがて周囲のタイルも連鎖して剥離していきます。

そのような状態にまで進むと、早めに対応していれば部分的な補修で数万円で済む工事が、全面足場+張り替えが必要となり、費用も数百万円にまで跳ね上がります。

こまめな修理や定期的な点検は、オーナー様の金銭的負担の軽減にもつながりますので、少しでも気になる劣化や症状がみられる場合は、早めに専門業者に相談するようにしましょう。

「見えない浮き」を見つける調査技術

今まではタイルの浮きを確認する際に、1枚ずつ叩いて調べるしかありませんでした。しかし、現在はより効率的に調査ができる「赤外線サーモグラフィ調査」も行われています。

各方法の特徴や建物の状態などを正しく理解し、組み合わせることで精度の高い診断につながります。

打診調査

打診棒で壁を叩き、反響音の違いで内部の空洞(浮き)を聞き分けます。正常な場合は「コツコツ」、浮き部は「ポコポコ」というような音が鳴ります。

低層階は直接、打診棒で叩き、高層部は高所作業車や足場を設置して調べていきます。また、業者や建物の立地条件によっては、屋上などからロープを吊るすロープアクセス工法を用いるケースもあります。

建築基準法の検査でも採用されている最も確実な方法です。次に紹介する赤外線サーモグラフィ調査で異常が見つかった際に、この打診調査で再確認することもあります。

赤外線サーモグラフィ調査

熱による温度差を調べられる赤外線カメラを使用して、外壁を撮影する調査方法です。タイルが浮いている部分は熱が溜まりやすく、熱分布画像を確認して浮き部を特定します。

足場を使わずに高所部・広範囲をスピーディーに診断でき、さらに低コストで安全性も高いのが特徴です。

ただ、前述したように現在のところ打診調査の方が調査方法としては優れているため、業者によっては高所部は赤外線サーモグラフィ調査、手が届く箇所は打診調査というように2つの方法を組み合わせるケースもあります。

壊さずに直す「アンカーピンニング エポキシ樹脂注入工法」

タイルの浮きを補修する際、これまではタイルを剥がして貼り直す方法が用いられていましたが、現在はタイルを壊さずに固定する「アンカーピンニング エポキシ樹脂注入工法」が主流となっています。

アンカーピンニング エポキシ樹脂注入工法とは、タイルの目地に小さな穴を開けて、そこから樹脂を注入・ピンを打ち込み、浮いていたタイルを躯体に固定させる工法です。

既存のタイルを剥がさないので騒音や粉塵が少なく、見た目も変えずに修理が可能です。また、張り替えに比べてコストも抑えられるメリットがあります。

ただし、浮きが広範囲に広がっている場合は、アンカーピンニング エポキシ樹脂注入工法では対応できない可能性があります。その際は張り替えによる補修が必要です。

作業の流れは次のとおりです。

1.浮きの調査

まずは打診調査や赤外線サーモグラフィ調査を行い、浮き部の範囲を確認します。

その際、図面に浮き部を記録したり、実際に目地にカッターを入れて浮きの深さやパターンを確認することもあります。

2.穿孔(せんこう)

穿孔位置をマーキングし、目地に専用ドリルで小さな穴を開けます。この穴にアンカーピンを挿し込むため、ピンより約1~2mm大きいドリルで穿孔します。

3.エポキシ樹脂の注入

穿孔した穴から専用のガンを使ってエポキシ樹脂を注入します。樹脂はタイル裏面の空洞部に広がり、コンクリートやモルタルとの隙間を埋めていきます。

4.アンカーピンの打設(注入口付アンカーピン工法)

アンカーピンにエポキシ樹脂を塗布して穿孔部に打ち込み、タイル・下地・コンクリート等の躯体を固定します。

このとき、ピン本体に樹脂の注入口が設けられている「注入口付アンカーピン」を使用するケースもあります。注入口付アンカーピン工法であればピンの打設と同時に樹脂が確実に裏面へ広がっていくので、より高い強度が期待できます。

5.仕上げ・打診確認

穿孔部・目地周辺をシーリング材やモルタルで埋めて仕上げていきます。その後、打診を行い固着状況を確認して完了です。

神奈川の立地環境とタイルの関係

神奈川県内、特に横浜や湘南エリアでは、潮風によって目地のシーリングやモルタルが劣化しやすい傾向にあります。また、鉄筋の腐食の原因にもなりやすいです。

国道や線路沿いの物件の場合は、車両の振動によってタイルの剥離・浮きが助長される可能性があります。

さらに相模湾・東京湾に面する場所は、台風の被害を受けやすく、強風と横殴りの雨によってタイルの浮きが発生したり、雨水が内部に浸入する可能性が高いです。

神奈川県といってもエリアによって特性が異なるため、状況に応じた方法でメンテナンスを進めていくことが大切です。地域に密着した専門業者であれば、こうした立地環境やリスクを熟知したうえで診断・補修プランを提案してくれるでしょう。

まとめ

建築基準法でも、竣工後10年が経過した建物は外壁の全面打診調査が義務付けられています。そして、建築基準法の義務を果たすだけでなく、オーナー様には、建物や入居者・近隣住民を守る務めがあります。

資産価値の維持やメンテナンスコストの削減においても、定期的な点検・修理は必要不可欠です。

ビルドアートはこれまで培ってきた経験と技術を持っているだけでなく、地域密着でエリアごとの特性も熟知していますので、より精度の高いタイル補修が可能です。

タイル1枚の剥離・浮きも放置していると大きな事故や被害につながる恐れがありますので、少しでも不安を感じた場合は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

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