担当:まるやま
「そろそろ築10年経つけど修繕は必要?」「まだ見た目は綺麗だけど、12年経ったら絶対にやらなきゃダメ?」などと疑問に思うこともあるでしょう。大規模修繕は多額の費用がかかるため、慎重になるのは当然です。
しかし、神奈川県は海に近いエリアの塩害や都市部特有の排気ガスなど、建物にとって過酷な環境も少なくありません。
今回はアパート・マンションの適切な大規模修繕のタイミングや、見極めるためのサインを解説いたします。
一般的に、大規模修繕の周期は「12~15年」がひとつの目安とされています。これは、国土交通省のガイドラインで提示されていることや、多くの建材のメーカー保証が10年前後で設定されているからです。
ただし、神奈川県は海に近いエリアの塩害、都市部特有の排気ガス・湿気、山麓の凍害など、建物にとって過酷な環境が多数存在し、同じ築年数でも立地によって劣化の進み方は大きく異なります。
重要なのは「年数」という数字だけで判断せず、建物の実態に合わせたタイミングで大規模修繕を実施することです。
修繕周期は建物の構造や立地環境など、あらゆる要素によって大きく変わります。以下の目安を参考に、物件の状況を確認してみてください。
RC造はマンションや中規模ビルでよくみられる構造です。
躯体の耐久性は高いですが、外壁塗装・目地やサッシ周りのシーリング・屋上やベランダの防水層は10~15年でメンテナンスが必要です。
また、タイル外壁の場合は、打診調査が建築基準法によって義務化されていますので、定期的に必ず実施しましょう。
集合住宅などで採用されているALC造は吸水性が高いため、塗膜による防水保護が重要となります。
塗膜の劣化が進むと、建物内部の腐食も進行してしまうので、8~12年サイクルで少し早めに塗り替えや防水工事を行うのが理想的です。
鉄骨造はアパートや店舗ビルなどでよく採用されている構造です。
サビの発生が劣化を急激に進行させる原因となるため、定期的に防錆塗装を実施する必要があります。特に沿岸部では潮風によってサビが起こりやすいので、5~8年ごとに状況をチェックしておくと安心です。
サビは放っておくと広範囲に広がり、鉄部の穴開きや腐食を引き起こし、最終的に躯体の耐久性低下や雨漏りにつながります。そのため、早期発見・対処が大切です。
アパートや戸建て賃貸などの木造は、雨水の浸入に要注意です。雨漏りすると木材の腐朽・シロアリの発生を引き起こし、建物の耐震性を脅かします。
雨水の浸入を防ぐ為に、7~10年ごとに外壁塗装やシーリング補修、防水のトップコート塗り替え、状況に応じて防水層の改修工事が必要となります。
建物の寿命を延ばすためには、早期発見・早期対処が欠かせません。
オーナー様ご自身でも確認できる代表的な劣化サインをご紹介しますので、該当する場合は専門家による診断を実施するようにしましょう。
屋上やベランダの防水にひび割れ・剥がれ・膨れがあったり、床に水が溜まりやすくなっている場合は注意が必要です。
防水層の劣化を放置すると雨漏りに直結します。雨漏りは建物内部の腐食・鉄筋のサビを急速に進行させ、修繕費用も跳ね上がってしまいます。
また入居者の生活にも大きな影響を及ぼし、退去率が上がってしまったり、思わぬトラブルに発展する恐れもあります。
タイルの浮きや剥離、ひび割れはタイルの落下事故につながる危険性があります。特に人通りの多いエントランス付近は要注意です。
実際に国内でもタイル落下による死傷事故が発生しており、建築基準法12条では全面打診調査が義務付けられています。
タイル落下で事故が起きた場合、所有者に賠償責任が課せられる可能性があるため、必ず定期的な点検・メンテナンスを実施しましょう。
チョーキングとは外壁を触ったときに手に白い粉がつく現象です。これは塗膜に含まれる顔料が劣化し、粉状となって表面に出てきている状態です。
緊急性は低いですが、チョーキングは劣化の初期段階にみられる症状ですので、手に白い粉がつくようになった場合は、塗装を検討し始める時期と言えます。
また、外壁にひび割れが発生している場合は、早めの対処が必要です。放置していると亀裂が大きくなったり、雨水が浸入して雨漏りに発展する恐れがあります。
階段・手すり・避難階段などの鉄部に、塗装の剥がれやサビが発生している場合も早めのメンテナンスが必要です。
鉄部の劣化を放置しているとサビが広がり、穴開き・腐食につながります。
鉄部の腐食は構造強度の低下に直結し、安全基準上の問題にも発展します。そのため、外壁や防水と同じく定期的な点検・修繕は欠かせません。
サッシ周りや目地部分に施されているシーリング材は、経年劣化によってひび割れや硬化、剥離を引き起こします。
シーリングは雨水の浸入を防止したり、振動による外壁材へのダメージを和らげる役割を担っています。
シーリングの劣化を放っておくと、雨漏りの発生やタイルの落下などにつながるため、外壁塗装と併せて定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
神奈川県内でも、エリアによって建物の傷み方は大きく異なります。標準的な修繕周期を守ることも大切ですが、立地特性に応じた時期に適切なメンテナンスをすることが必要です。
地域密着の業者であれば、その土地特有の劣化やそれに合わせた最適な材料・施工方法を提案できるでしょう。
横浜・横須賀・湘南などの沿岸部は、潮風による塩害に注意が必要です。潮風が建物に当たり、内陸部に比べて約1.5~2倍の早さで劣化すると言われています。
特に鉄骨造の建物はサビが発生しやすく、鉄部の腐食につながる可能性があるため、8年前後で点検を実施して状況を確認しておくことが大切です。
川崎・鶴見などの工業地帯は、排気ガスや酸性付着物による劣化進行に注意が必要です。
コンクリートは、大気中の二酸化炭素と反応するとアルカリ性が失われていく「中性化」を引き起こします。中性化はどのような建物でも起こりますが、排気ガスが多いエリアでは中性化が早く進みます。
そして中性化が進行すると、コンクリート内部の鉄部が腐食・膨張し、コンクリートの内側から圧がかかり、ひび割れや剥離につながります。
コンクリートの剥離は建物の耐震性低下や雨漏り、死傷事故に発展する非常に危険な状態です。細かいひび割れや欠損だとしても、早めに専門家による診断を受けることが大切です。
幹線道路・線路沿いの建物は、振動によって劣化を早めてしまう傾向にあります。
繰り返し振動を受けるとシーリングやタイルの接着力が低下し、通常よりも早くシーリングが割れたり、タイルの浮き・剥離が発生する可能性があります。
シーリングの打ち替えサイクルを短くしたり、タイルの浮き点検をこまめに実施するなどの対策が必要です。
鎌倉・逗子・三浦半島などは塩害・多湿・強風という複合的な環境リスクが高く、外壁塗装、屋上防水、シーリング、鉄部すべての劣化が重なりやすいエリアと言えます。
塗膜や防水層の剥がれ、シーリングの劣化、鉄部のサビなど注意すべき点が多くありますので、定期的に総合的な点検・メンテナンスを行うことが重要です。
箱根・丹沢山麓・厚木などの山間部は、凍害・急激な温度変化に注意が必要です。冬季の凍結融解が影響し、外壁材のひび割れや湿気によるカビ・コケの発生、鉄部の腐食などを引き起こします。
凍害に強い材料を使用したり、こまめな点検を実施して、被害が拡大するのを防ぐことが大切です。
港北・都筑・横浜市などの内陸部は、地盤変動が原因で外壁にひび割れが発生しやすいエリアとなります。
ひび割れは雨水の浸入につながり、雨漏りや鉄部の腐食、シロアリの発生、建物の耐震性低下などのトラブルに発展しますので、ひび割れがみられる場合は早期の対処が不可欠です。
「今は資金繰りが厳しいから」「綺麗だし、あと2~3年延ばそう」という判断が、結果的に大きな損失を招く恐れがあります。
小さなひび割れを放置したことで、コンクリートの内部の鉄筋や躯体にダメージを及ぼし、修繕費用は当初の数倍に膨れ上がります。また、外観が古びて汚れた印象になると入居率が低下し、賃料を下げざるを得なくなるという経営上のリスクも無視できません。
修繕の先延ばしがどのようにコストを増大させるかをご説明いたします。
適切な修繕時期であれば、チョーキング・ヘアクラック・シーリングの軽微なひび割れなどの表面劣化の段階であることがほとんどです。費用も最も安く済みます。
【主な工事内容】
外壁塗装、防水更新、部分的な修理、シーリング補修など
【費用の目安】
基準(100%)
【入居率・賃料への影響】
外観を維持することで、入居率・賃料の維持ができる
適切な修繕時期から2~3年経つと、ひび割れやシーリング破断から雨水が内部へ浸入するリスクが高まります。さらに、断熱材のカビやコンクリートの中性化が始まる段階となります。
【主な工事内容】
適切な修繕時期の工事内容に加えて、クラック補修、部分的な左官補修など
【費用の目安】
約130~150%(約1.3~1.5倍増)
【入居率・賃料への影響】
外観の劣化が目立ち内見率低下。賃料の維持が難しくなってくる。
適切な修繕時期から5年以上も放置していると、雨水が鉄筋に到達してサビが進行したり、建物全体に雨水が回ってしまう恐れがあります。
さらに、サビの腐食が原因でコンクリートが破壊される爆裂という現象が起きたり、天井や壁が水濡れしてしまうなど、雨漏りによる躯体や室内への影響なども大きくなります。
【主な工事内容】
放置2~3年後の工事内容に加えて、爆裂補修、躯体再生、防水全面改修など
【費用の目安】
約200~300%(約2~3倍増)
【入居率・賃料への影響】
入居率低下・退去加速・空室増加により賃料の維持ができない状況になる。
大規模修繕を成功させる為に重要なのは「12年経ったから」でも「まだきれいだから大丈夫」でもなく、現在の建物の実態を正確に把握し、根拠ある計画を立てることです。
年数という数字に惑わされず、建物の状態や立地環境に適した時期に修繕を実施することで、長期的なコスト最小化と資産価値維持につながります。
そのためには、まず建物診断を行い、状況を知ることが大切です。神奈川の環境リスクを知り尽くした専門家であれば、「今すぐやるべきこと」「数年後に備えること」「不要なこと」を明確に分けてくれるでしょう。
ビルドアートは高い技術や知識をはもちろんのこと、神奈川県で豊富な実績を持っているため、環境に適した修繕をご提供できます。オーナー様の大切な資産を守るためサポートさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。