担当：まるやま
マンションや集合住宅の大規模修繕工事において、外壁塗装は建物の資産価値を保ち、長寿命化を図るうえで欠かせない工事です。
しかし、塗装時に発生する「塗料の匂い」は、在宅中の入居者様にとってストレスや体調不良の原因となることが少なくありません。
このページでは、塗料が人体に与える影響や入居者様が取れる具体的な対処法、施工業者や管理会社が事前に講じるべき配慮と対応策についてご紹介します。
外壁塗装に使用される塗料の中でも、油性塗料は「シンナー」と呼ばれる有機溶剤で希釈して使用します。
シンナーには、塗料の粘度を調節したり乾燥を促進する役割がありますが、揮発する際に強い刺激臭を発し、空気中には気体化した揮発性有機化合物（VOC）が放出されます。
このVOCが室内に入り込むことで、以下のような体調不良を引き起こす可能性があります。そのため、小さなお子様やご高齢の方、持病のある方、ペットのいるご家庭では、特に配慮が必要です。
・頭痛や吐き気
・のどや目の刺激
・アレルギー反応（皮膚のかゆみ・咳など）
・化学物質過敏症の悪化
施工期間中に匂いが気になる場合、入居者様に以下のような対策をお願いすることで、不快感や健康被害を軽減することができます。
塗装作業中は、塗料の臭いが外気に乗って室内に入り込みやすくなるため、換気のタイミングに注意が必要です。特に風向きや作業の有無を確認しながら、適切な時間帯を選んで換気を行うことが大切です。
万が一、室内に臭いがこもってしまった場合には、塗装作業を行っていないエリアに面した窓を一部開けて、無理のない範囲で換気を行ってください。
この時、塗装中の外壁に近い窓を開けてしまうと、臭いが室内に入り込んでしまう可能性があるため、塗装中の外壁付近の窓は閉めておくようにしましょう。
また、換気扇の使用にも注意が必要です。塗装期間中に換気扇を使用すると、外の臭気を室内に取り込んでしまう恐れがあるため、可能であれば一時的に使用を控えていただくのが安心です。
塗装期間中に室内で塗料の臭いを感じる場合は、活性炭入りの防臭マスクを着用することで、臭いをある程度軽減することが可能です。
特に、臭いに敏感な方や小さなお子様、ご高齢の方がいらっしゃるご家庭では、体調管理の一環として防臭マスクの使用をおすすめします。
塗装期間中は、塗料に含まれる臭気成分や粉塵が洗濯物に付着する恐れがあります。特に油性塗料を使用する場合、その臭いは衣類に染みつきやすく、洗い直しても簡単に落ちないこともあります。
そのため、塗装期間中は室内干しに切り替えていただくか、近隣のコインランドリーをご利用いただくようご案内することが大切です。
塗装工事中の臭いに不安がある場合や、臭いに敏感な方、小さなお子様、ご高齢の方がご同居されているご家庭では、健康面への配慮として一時的な避難をご検討いただくことも有効です。
ご実家への帰省やウィークリーマンション・短期滞在型の宿泊施設などの利用といった一時的な生活環境の見直しにより、体調不良やストレスのリスクを軽減することができます。
施工内容や期間に応じて、あらかじめ避難先の手配を検討しておくことで、より安心してお過ごしいただけます。
犬や猫などのペットは、人間よりも嗅覚が鋭く、塗料の刺激臭に大きなストレスを感じる場合があります。特に、換気が難しい環境では、体調を崩してしまうリスクも考えられます。
そのため、塗装期間中は信頼できるペットホテルやご家族・ご友人への一時預かりなど、事前に安全な預け先を確保しておくと安心です。ペットにとっても、安心できる環境で過ごすことでストレス軽減につながります。
入居者様が日常生活を送りながら進められる大規模修繕工事においては、塗料の臭いや健康への影響に対する事前の配慮が、施工への理解と信頼を得るうえで欠かせません。
適切な対策を講じることで、入居者様の安心と快適な暮らしを守りながら、工事全体の印象や満足度を高めることができます。
近年では、耐候性・耐久性に優れた水性塗料の開発が進み、外壁塗装においても水性塗料が主流となりつつあります。
水性塗料は水で希釈するタイプの塗料で、油性塗料に比べてVOCの放出量が少なく、臭気も抑えられているため、居住中の建物での使用に適した塗料と言えます。
塗装時に発生する臭いによる不快感や体調不良のリスクを軽減できることから、入居者様への配慮が求められる大規模修繕工事において、多くの現場で水性塗料が積極的に採用されています。
F☆☆☆☆（フォースター）は、JIS（日本産業規格）に基づいて定められた安全等級の中で、ホルムアルデヒドの放散量が最も低いと認定された、建材や塗料に与えらえる最高ランクの等級です。
外壁塗装を含む大規模修繕工事では、施工時に発生するVOCが一時的に室内へ流入する可能性があるため、F☆☆☆☆等級の塗料を採用することで、入居者様の健康リスクを最小限に抑えることが可能です。
また、使用する塗料が高い安全基準を満たしていることは、オーナー様や管理会社様にとっても、入居者様への安心感やクレーム予防の観点からも大きなメリットとなります。
施工前には、工事工程や臭気が発生する可能性のある期間、そして生活面で注意が必要なポイントについてわかりやすく丁寧にご説明することが不可欠です。
掲示物やポスティング資料、専用案内文の配布に加え、必要に応じて対面またはオンラインでの説明会を実施することで、入居者様の理解とご協力を得やすくなります。
外壁塗装を含む大規模修繕工事は、建物の美観維持や資産価値の向上に欠かせない重要なメンテナンス工事です。
一方で、入居者様にとっては日常生活に影響を及ぼす場面でもあり、なかでも「塗料の臭い」は、工事全体の印象や満足度を左右する大きな要素となります。
ビルドアートでは、塗料の選定から施工計画、事前の情報提供まで、入居者様の安心と快適性を最優先に配慮した対応を徹底しています。
また、オーナー様や管理会社様と密な連携を取りながら、トラブルのないスムーズな工事進行を実現いたします。
外壁塗装や大規模工事に関するご不明な点やご相談などがありましたら、お気軽にご連絡ください。
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