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ウレタン防水、塩ビシート防水、FRP防水の使い分け:建物の寿命を左右する「防水材」の正解とは?

スタッフ

担当:まるやま

屋上やベランダ・バルコニーの床面は、ほぼ平面なので雨水が滞留しやすく、雨漏りの発生原因となりやすい場所です。

雨漏りを防ぐ為には防水工事が必要になりますが、工法はどれも同じではありません。施工場所の形状や既存防水の状態に合わせて、正しく工法を使い分けることが重要です。

今回はウレタン防水、塩ビシート防水、FRP防水それぞれの特徴や工法の選び方を解説いたします。

「とりあえず防水」が雨漏りを招く

「雨漏りしたから、とりあえず防水材を塗っておけば大丈夫」という安易な判断が数年後の不具合や再補修を招きます。防水工事の成功は、施工場所や下地の状態に合わせて、最適な工法を選べるかどうかで決まります。

オーナー様自身でも、屋上・ベランダ・廊下それぞれの形状・用途・下地状態に応じた工法選定を知っておくことで、より長持ちし、コストパフォーマンスの高い修繕工事を行えるでしょう。

ウレタン防水、塩ビシート防水、FRP防水は次のとおりです。

ウレタン防水:複雑な形状にも対応する「万能の液体」

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を複数回塗り重ね、継ぎ目のない滑らかな防水層を形成する工法です。

液体状の防水材で継ぎ目のない仕上がりになるため、凹凸の多い場所にも適しており、主に複雑な形状のベランダ、小規模な屋上に用いられています。

耐久年数:10~12年
単価(㎡):約4,000円~7,000円

メリット

・室外機・ドレンなど障害物が多い場所や複雑な形状のベランダに対応可能
・他の工法に比べて安価
・継ぎ目がないため、見た目が美しく隙間からの浸水リスクが低い
・既存の防水層の上から塗れるので、メンテナンス性に優れている

デメリット

・手塗り作業のため職人の技術で厚みにムラが出やすい
・塗膜の厚みが確保できていないと耐久性が低下する
・ウレタン樹脂の乾燥に時間を要するので、他の工法に比べて工期がやや長め

塩ビシート防水:広大な屋上を守る「高耐久の盾」

塩ビシート防水は、工場で生産された塩化ビニール製のシートを専用の接着剤や金具で固定して防水層を形成する工法です。

大きなシートを使い、一度に広範囲を施工できるので、陸屋根やアパート・マンションの屋上、商業施設など面積の広い場所によく採用されています。

耐久年数:10~20年
単価(㎡):約5,000円~8,000円

メリット

・紫外線や熱に強く、耐久性に優れている
・工場生産されたシートを敷くため、品質が安定している
・工法によっては既存防水層の撤去が不要で、廃材処理コストを削減できる
・広い面積も短時間で施工可能

デメリット

・シート同士の継ぎ目の接着が不十分だと雨水の浸入につながる
・複雑な形状や凹凸が多い部分には不向き

FRP防水:強靭で軽量な「プラスチックの鎧」

FRP防水は、ガラス繊維を混ぜたプラスチック樹脂を重ねて防水層を形成する工法です。ガラス繊維を含むため、非常に硬く、軽量という特徴があります。

ウレタン防水と同じく液体状の防水材なので、主に複雑な形状の場所や歩行が多いベランダ・テラスなどに用いられます。

耐久年数:8~10年
単価(㎡):約6,000円~9,000円

メリット

・硬化が早く1日で工期を短縮できる
・衝撃、摩耗、薬品に強く、人の出入りが激しい場所でも施工可能
・軽量なので躯体への負担が少ない

デメリット

・伸縮性が低い
・面積が広く、収縮性のある木造住宅などに使用するとひび割れが起きやすい
・他の工法に比べて費用が高め

【プロの比較表】どれを選ぶべきか一目で確認

ウレタン防水 塩ビシート防水 FRP防水
耐久年数 10年〜12年 15年〜20年 10年〜12年
コスト 安価 中程度 高め
施工スピード 普通 早い 非常に早い
複雑な形状 ◎(最適)
広範囲 ◎(最適) ×(割れやすい)
主な適用場所 ベランダ・小規模屋上・廊下 大型陸屋根・マンション屋上 木造ベランダ・小規模テラス

工法をさらに深掘り:密着工法・通気緩衝工法

3種類の工法をご紹介しましたが、その防水材を作る際の方法として「密着工法」と「通気緩衝(絶縁)工法」の2種類あります。施工方法の違いが仕上がりの品質と耐久性を大きく左右します。

密着工法

密着工法は、防水材を下地に直接貼り付けて固定する工法で、既存の下地が乾燥しており、状態が良い場合に適しています。施工費用が安く、工期も短い点がメリットです。

下地に水分が残っていると膨れ・剥離が発生するリスクがあるため、水分が下地にまで浸透している場合や雨漏りしている場合は不向きです。

通気緩衝工法

通気緩衝工法は、下地の上に通気シートや絶縁シートを敷いてから防水材を固定する工法です。塩ビシートで用いられる「機械的固定工法」も通気緩衝工法の一種です。

下地の水蒸気を逃がすため、膨れ・剥離が起きにくいのが特徴で、既存防水層を撤去せずに被せて施工できるため、撤去費や廃材処分費を抑えられるメリットもあります。

注意点としては、作業中に大きな音が発生することがあるため、近隣への配慮が必要となります。

部位別・場所別の工法選定ガイド

大型陸屋根

推奨:塩ビシート防水

面積が広いマンションやビル、商業施設などの屋上は、品質が安定した塩ビシートが最適です。耐用年数も長いので、メンテナンスにかかる手間も最小限に抑えられます。

小規模屋上・複雑な設備が多い屋上

推奨:ウレタン防水

空調室外機や配管、アンテナ架台など障害物が多い屋上は、ウレタン防水が適しています。液体状のウレタン樹脂で隙間なく施工できます。

ベランダ・バルコニー

推奨:ウレタン防水

ベランダ・バルコニーは手すり付け根・排水溝周辺・コーナー部など複雑な取り合いが多いため、液体状のウレタン防水が最適です。

面積が10㎡未満の小規模バルコニーはFRPも選択肢に入ります。

歩行頻度が高いテラスやバルコニー

推奨:FRP防水

FRP防水は非常に強度があり、衝撃にも強いため、歩行頻度が多い場所に向いています。また、車両の走行にも耐えられるので、屋上駐車場にもFRP防水を採用することがあります。

廊下・階段

推奨:ウレタン防水・塩ビシート防水

廊下や階段にも防水工事が必要です。塩ビシート防水を行う場合、継ぎ目やコーナー部などはウレタン樹脂を塗って防水性を高めます。

トップコート管理:5~7年ごとのメンテナンスが寿命を決める

どの工法を選んでも共通して言えるのは、防水層の表面に塗装されている「トップコート」のメンテナンスが防水寿命を左右するということです。トップコート自体に防水性はありませんが、防水層本体を紫外線・熱・摩耗から守る「防護膜」の役割を果たしています。

トップコートの機能が低下したり、メンテナンスを怠っていると防水層を保護できなくなり、最終的に防水層の寿命を縮めてしまう結果となります。

塗り替えの時期は5~7年ごとが理想的です。こまめなメンテナンスが必要となりますが、防水層を守り、雨漏りを防止する為には重要なポイントです。

トップコート塗装の費用は、防水層の種類によっても異なりますが、㎡あたり2,000円~3,000円が相場です。

トップコート塗り替えのタイミングを示すサイン

・白化(チョーキング)
・表面のひび割れ(ヘアクラック)
・防水層の膨れ、浮き

チョーキングとは、表面を手で触れると白い粉が付着する状態です。紫外線による表面劣化が始まっているサインですので、塗り替えを検討し始める時期と言えます。

トップコートに細かいひびが入り始めている場合は、早めの塗り替えが必要です。直ちにトラブルに発展するわけではありませんが、トップコートの機能が失われつつあります。

防水層に膨れ・浮きが発生している場合、この段階では既にトップコートは機能しておらず、防水層本体の劣化が進行中です。早急に防水層の改修工事が必要です。

まとめ

どの工法を選んでも、防水工事の仕上がりを左右するのは「適切な工法選択」と「継続的なトップコートメンテナンス」の組み合わせです。雨漏りが発生してからでは、建物の内部腐食により修繕費は数倍に跳ね上がります。

修繕履歴や雨漏りの有無は、建物の資産価値に大きく影響します。定期的な点検・メンテナンスは必要不可欠です。

また、オーナー様ご自身で防水の劣化状況や適切な工法を把握するのは難しいかと思いますので、まずは専門業者に状態を確認してもらうことが大切です。

ビルドアートでは、現在の防水層の状態を詳細に診断し、劣化や建物構造に合った適切な工法をご提案しております。大規模修繕をご検討中の方はぜひご相談ください。

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